開発での苦労は、DVD Audio Linkだけではありません。AlpineF#1Statusとしてグレードの要求が高いために、DVDメカのMPEGデコーダーというコア部分を大きく変更せざるを得なかったり、チューナーユニットをより高感度なものに替えたり、あるいは開発が進むにつれて、メインマイコンの容量や処理能力が不足してしまい、マイコンの再選定も余儀なくされました。こんなことは、通常の開発ではまず例のないことです。また、高度で大規模な開発のであったため、各技術のプロフェッショナルが集結しましたが、各々が妥協を許さないこだわりを持ったメンバーです。せめぎあいの中で最適な解を見つけるのには困難を極めましたが、達成出来たと確信しています。そういった意味でAlpineF#1Statusが、アルパインの叡智の結集であると、掛け値なしに言えます。
音へのこだわりの一例として、こんな事が有りました。最初に音出し確認を行った時、「え、これがDVD-Audioの音?」と首を傾げるような納得のいかないものだったのです。フォーマット上は音質は変わらないはず。そこで、長年の経験からその原因は電源部にあると睨み、電源構成については従来のDC-DCコンバーター方式に加えて、シリーズレギュレーター方式でも平行開発し、より良い方式を選ぶ形を取りました。開発規模が2倍になる事を承知で敢えて2方式で進行したわけです。最終的に、サウンドマスターからシリーズレギュレーターが圧倒的に良いという評価が出た時には、会心の思いでした。次々発生する問題を克服した工夫、ノウハウはシステムのあらゆる部分に息づいています。システムトータルをまとめる私の立場としては、機器間のソフトウエア開発が大規模となった事も、大いに苦労したところではあります。しかし、その困難に立ち向かい、解決する事が、技術者としての醍醐味でもあるのです。 |