とにかく回路や聴覚モデル化は、データの蓄積が必要ですから、いろいろなサンプリングを行ないました。たとえば聴覚モデルの作成については、300人の被験者について行なっています。一口に300人といっても、一人について少なくとも1ヶ月はかかる作業ですから、延べ300ヶ月です。ロードノイズについては、アルパインにはデータの取得ができるテストルームや、世界の凸凹した路面パターンを模したテストコースがあるので、本当に走りまくりましたよ。さらに世界中のアルパイングループにも、現地走行でのデータ採取を依頼しました。
テストコースと公道テストでの総走行距離は50,000kmを確実に超えていることでしょう。また、私は、プロトタイプを自分の車に載せていたのですが、チェックのために毎日違う通勤路を通ったり、遠回りをしてみたり、とにかく実際の御客様の使用環境を反映したデータ測定を心がけました。
プロトタイプシステムの完成度が高まってくると、データ採取のために、超小型マイクを耳に仕込んだダミー人形を助手席に乗せながら、路上テストを繰り返し行なうわけですが、すると高速道の料金所の係員には、たいていギョッとされていました。それだけならいいのですが、パーキングエリアでダミー人形のデータ採取やメンテナンスなどしていたら、女子高校生がこちらを指差しながら、ひそひそ話をしているんです。完全に怪しいオジサンに間違われていたんですよ。あれには、まいりましたね。 |